尿もれ対策のためだけ?出産後に骨盤底筋をケアしなければならない本当の理由とは

尿もれ対策のためだけ?出産後に骨盤底筋をケアしなければならない本当の理由とは

こんにちは、ボディケア整体荻窪ラボの三橋です。

「出産したらコツバンテーキン(骨盤底筋)を締めましょう!」

出産後に抱えてしまう尿もれの原因の多くが骨盤底筋(こつばんていきん)の機能低下によるものであることは、今やよく知られる時代となりました。だから、多くの女性が出産後すぐに産褥体操やケーゲル体操といった“骨盤底筋を締め直す”エクササイズに励むことになるのです。

ところで、産後女性が骨盤底筋を締めなくててはならないのは、果たして尿もれ対策のためだけなのでしょうか?

実は、骨盤底筋は排尿のコントロールの他にも重要な役割を担っていて、そちらを理解しないことには尿もれの改善もままならないなんてことにも。今回は、産後ケア、産後の骨盤矯正のカギを握るといっても過言ではない骨盤底筋についてのお話です。

体幹の中枢を担うインナーユニットの一部としての骨盤底筋

骨盤底筋イラストイメージ

骨盤底筋とは、正しくは骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)といい、単独の筋肉ではなく名前の通り何層にも重なって存在している筋肉ひとかたまりを指す名称。その形状については、ハンモックの形を想像してもらうと分かり易いかと思います。“骨盤の底”をハンモックのように支えていて、そのうちの一層の筋肉が排尿のコントロールを担っているという訳です。

そして、着目すべきはこの骨盤底筋群という筋肉のもつ「もうひとつの顔」。

実は人体における体幹の中枢部分を担う筋肉であるという事実です。

人体においてちょうど肋骨が存在しない、物理的に極めて脆弱な部分である腹部を骨格に代わって支えている筋肉の塊(かたまり)をインナーユニットといい、骨盤底筋群をはじめ、横隔膜、腹横筋、多裂筋といった4つの筋肉で構成されています。(下図参照)

インナーユニットイラストイメージ

ちょうど家に例えると、“床”が骨盤底筋群、“天井”が横隔膜、“壁”が腹横筋、“梁(はり)”が多裂筋といった具合でしょうか。なお、インナーユニットそのものについてはパンパンに膨らませたバスケットボールを想像して頂けたら理解しやすいかと思います。

腹部に収まっているバスケットボールが萎んでしまっていたら、つまり腹圧を高めることが出来ない状態にあれば、上半身の重さを受け止めることが出来なくなってしまいますよね。(そのぶん背骨への負担が増してしまう)

つまりは、インナーユニットとして4つの筋肉が互いに正しく協調して収縮することで、はじめて腹圧を高めることが出来るという訳です。そして、人間の身体は腹圧を高めることで姿勢を保持するだけでなく、強い力を必要とするような局面で高いパフォーマンスを発揮できるようにも設計もされているのです。

これは逆に言うと、インナーユニットが正しく機能できる状態になければ、人間は体幹を正しく支えることが出来なくなることも意味します。

産後ケアを正しく理解する上でキーワードとなるインナーユニットについて

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妊娠出産でインナーユニットが機能低下してしまう原因について

麩筋群イラストイメージ

出産後に抱えてしまう不調やトラブルのの原因の多くが、妊娠出産によるインナーユニットの機能低下によって引き起こされたものであるといっても過言ではないでしょう。そのくらい産後ケア、産後の骨盤矯正の本質を考える上で、インナーユニットというのはカギを握る存在であるのです。

そんなインナーユニットを構成する筋肉のなかでも、骨盤底筋はとりわけ大きなダメージを負ってしまいます。まず妊娠中、胎児の重さを支え続けたことにより柔軟性を失ってしまい、さらには自然分娩の際には大きな外傷(ケガ)を負ってしまうからです。

並んで骨盤底筋と隣接する腹横筋(ふくおうきん)と呼ばれる筋肉も、胎児を支え続けた負担、それと帝王切開による出産の場合は直接メスが入ってしまうことで大きなダメージを負ってしまうことに。そういったこともあって、特にこれらふたつの筋肉はインナーユニットのなかでも比較的大きなダメージを負ってしまうことになります。

だから、出産後まずはこれらふたつの筋肉のダメージからの回復を待った上で、あくまでインナーユニットとしての正しい機能回復、正しく腹圧をかける訓練をしていくべきであるのです。

そして、もし骨盤底筋がまだダメージから充分に回復しきらない状態で無理に腹圧をかけるような動作をしてしまうと、腹圧を受け止めきれないことで骨盤底筋が壊れ、尿もれがさらに悪化してしまうこともあるから注意が必要。いきなり腹筋運動(上体起こし)を始めてしまうなんて、論外ということになります。

あくまで、まずは柔軟性を失い、いわば「使い方を忘れてしまった」状態にある骨盤底筋を腹横筋と“関連付けて動かす”機能訓練から始めることが何よりも大切であるのです。

骨盤底筋というよりも、あくまでインナーユニットとして機能回復を目指すべき

インナーユニットをその機能面から考える時、いちばん重要なことはそれを構成する4つの筋肉群を「互いに正しく協調させて使えるかどうか」という一点に尽きるかと考えます。腹圧を高めることが出来ない限りは、インナーユニットとしての本来の機能を発揮できないからです。

例えば、出産後に抱えてしまった尿もれからの改善を考えた場合、いくら骨盤底筋を単体で鍛えようとしたところで、それはあまり意味を成さないということになります。あくまでインナーユニット全体としての機能回復を図っていくべきであるのです。

特に身体の深部を支えるインナーマッスル群(インナーユニットもこれに当たる)は、腹圧と非常に深い関係にあることが多く、機能回復させるにあたっては“隣り合わせの筋肉と関連付けて”刺激することがコツとなってきます。“鍛える”というよりは、あくまで機能回復を目指すべきであるということです。

出産後に「歩くとふらついてしまう」とか、「なんとなく体に力が入りにくい」といった症状の原因が、実は産後に抱えてしまう尿もれと同じところに存在したという事実。骨盤底筋に対して正しくアプローチしていかないことには全身の筋肉を妊娠前と同じように使うこともままならないのです。

例えば出産後、多くの女性が意外なことに風船を膨らませることが出来なくなってしまいます。おそらくこれがいちばん身近で分かり易いインナーユニットの機能低下を知るエピソードとなるはず。こういった状態を長く放置してしまうと、それこそ産後10年経ったとしても縄跳びでやランニングで簡単に尿もれを起こしてしまう状況を引きずってしまうことになりかねないという訳です。

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