出産後に本格的に運動を再開するタイミングはいつ?必ず押さえておきたい事とは
こんにちは、ボディケア整体荻窪ラボの三橋です。
当院の産後の骨盤矯正コースでは産前産後の専門整体院として、あくまで“本質的な”産後ケア、産後の骨盤矯正を追求していきます。
なかでも「運動機能の回復」に焦点を当てていくのが、当院の産後の骨盤矯正コースのひとつ大きな特徴かも知れません。これにより出産後に抱えてしまう痛みや不調からの根本的な回復を目指していくという訳です。
そして、多くのクライアントさんたちが産後に抱えてしまった不調やトラブルから回復され、動けるようになると、自ら運動を始めることを希望されるのです。
それは、痛みや不調といったトラブルから解放されると、今度は“その先”にある「ボディラインの回復」にいよいよ関心が向くようになるからで、やはり、あるレベルから先の領域を目指すとなると、どうしても運動が必要となるのです。
それでは、出産後どんなタイミングで運動を始めるべきでなのでしょう?
まずは出産後1か月まではひたすら静養に努めるべき
通常分娩、帝王切開を問わず、出産を終えたばかりの女性の身体は、満身創痍そのもの。思っている以上に母体は深刻なダメージを負ってしまっているのです。
だから出産後1か月までの間は、まずはひたすら静養に努めるべき。とにかく睡眠と栄養をとってゆっくり過ごすのが最善策となります。
産後1か月までの時期は、運動はもちろんのこと、エクササイズも控えるべきで、何よりもまずはダメージからの回復を優先することが大切。この時期に無理な負荷を掛けてケガをしてしまうと、そのぶん出産後のリハビリを始めるタイミングが遅れてしまうだけ。“急がば回れ”であるのです。
出産後1か月が経過したら、まずは骨盤底筋の機能回復を優先させるべき
産後1か月が経った頃には、出産時に負ってしまった傷もすっかり癒えてきていることでしょう。
でも、焦らないで。
まだ、目に見えないレベルでの妊娠出産によるダメージが残っているもの。
まずは妊娠中に胎児の重さを支え続けた骨盤底筋(こつばんていきん)を妊娠出産によるダメージから回復させることが何より優先となります。
ここで重要なことは、決して骨盤底筋だけを単独で鍛えようとしないこと。
同じく妊娠中にお腹が大きく膨らんだことでダメージを負ってしまっているはずの腹横筋(ふくおうきん)と呼ばれる腹部を支える筋肉とセットで鍛えてあげることが必要があるのです。
できれば骨盤底筋(群)、多裂筋、腹横筋と、とても深い関係にあるインナーユニットとよばれる筋肉の集合体として鍛えることが出来れば、とても理想的。ちなみに当院では、これをドローイング(ドローイン)と呼ばれる手法などを用いて機能回復を目指していきます。
胎児の重さを支え続けて硬くなってしまった筋肉に、少しづつ柔軟性を出していくようなイメージ。
あくまで“鍛える”のではなく、インナーユニットを構成する他の3つの筋肉と再び連動させて使えるよう機能訓練することが大切です。
「出産による体幹バランスの崩れ」からの回復をはかる
ところで、出産後まもない時期の女性を悩ますのが“運動機能の著しい低下”です。
たとえば歩く際にふらついてしまったり、朝ベッドからスムーズに起き上がることが出来なくなってしまったり。もっと分かり易い例を挙げると、「腹筋がただの一回も出来なくなってしまった」という現象がそれ。とにかく「体に力が入らない」という“違和感”を産後まもない時期の女性は自覚するもの。
そして、これら“違和感”の正体を当院では「出産による体幹バランスの崩れ」によるものと定義付けております。
どういうことかと言いますと。
妊娠から出産までのおよそ10カ月間、大きく成長していくお腹によって、妊婦さんの重心バランスは徐々に変化していきます。それこそ妊娠後期にも入ると、多くの方が“お腹でバランスをとるような”独特の立ち方や歩き方へと変化してしまうもの。
これが今度は、出産という“たった1日”を境に急激に、重心バランスが変わってしまうという訳です。
つまりは、10か月かけて変化していった重心バランスが、たった1日で覆されてしまう。
こういった理由により、出産後まもない女性は、著しい筋肉の機能低下を抱えてしまうこととなるのです。だから出産後1か月以降は、こういった筋肉の機能回復を図っていくべきであると当院では考えます。
特にインナーマッスルと呼ばれる筋肉群に焦点を当てていくのですが、それは“筋トレ”ではなく、あくまで機能訓練くらいの強度であることが重要。ひたすら効率の良い身体の使い方を“思い出す”くらいの強度で充分であるのです。
いわゆる骨盤ベルトの使用については、むしろ推奨していない
産後数か月ほどの時期のクライアントさんから非常によく頂く質問がいわゆる“骨盤ベルト”の使用についてです。
だいたい個人差もございますが、産後2~3か月ほどで関節を弛ませるリラキシンと呼ばれるホルモンの分泌がある程度収まると言われています。このホルモンが効いている間は、骨盤がグラグラしても何ら不思議ではないという訳です。
しかし現実的には、このリラキシンというホルモン、出産後1か月ほどでだいぶ落ち着いてしまうよう。おそらく、それ以降に感じる骨盤まわりの“違和感”の正体は、先述した「出産による体幹バランスの崩れ」によるものであるというのが当院の見解です。
つまり、出産後しばらくの時期はインナーマッスルの著しい機能低下によって、身体のバランス感覚をも障害されてしまうということ。だから骨盤ベルトを巻いたところでそれは何も意味を為さないという訳です。
おそらく本当に骨盤がグラグラしているのはせいぜい産後1か月までの時期でしょう。その期間は骨盤ベルトで覆ってあげるのもひとつの手であるのですが、それ以降も巻き続けてしまうのは筋肉が甘えてしまうことに繋がりかねず、かえって産後の回復を遅らせてしまう一因にもなりかねません。
もちろん当院にお越しになるクライアントさんたちは、基本的には出産されて1か月以降経った方たち。何か特別な事情がない限りは、自動的に骨盤ベルトは非推奨となることは言うまでもありません。
実際に出産後に運動を始めるタイミングについて
さて、ここでいよいよ本題に入ります。
出産後に運動を再開するタイミングなのですが、先述した「出産による体幹バランスの崩れ」や骨盤底筋の機能が十分に回復してからということになります。その具体的な時期については、個人差もありますが少なくとも出産後3~4か月以降だと当院では考えます。
もし、こういった部分が十分に回復されないまま走ったり、腹筋運動などといった高負荷の筋トレを始めてしまうと、腰痛や尿もれを誘発してしまったり、膝を痛めてしまうことに繋がりかねないからです。
なお、このタイミングについてはなかなか一般の方には分からないと思いますので、まずはウォーキングや自転車などといった強度の低い運動から始めることをお勧めします。
すると、徐々に筋肉が刺激を受けることで「不安定さ」が改善してくるはず。そして、だんだんと距離を伸ばしていくなかで、やがて“走りたい”という衝動に駆られるようになってきたら、その時が本格的な運動を再開するタイミングとなります。
そうですね、最初は30分ほどの距離からスタートして、1時間を楽に歩けるようになった頃には“そういった感覚”が生まれてくることでしょう。出産後2~3か月かけて、ここのレベルまでもっていくことが理想的であるかと。
しかし、なかには出産後2~3か月が経過しても一向に不調や違和感が改善しないケースもあるでしょう。そういった場合には、やはり専門家のアドバイスを受けるべきであることはお伝えしておきます。
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